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アメリカの不況は10年続く  (2004/11/29)

今回は、海外先進国の長期サイクルから今後を予測したい。
もっとも、今回の結論を先に言っちゃうと、
「長期波動から予測すると、アメリカは今後10年間、大不況になる。それが運命。」
というだけ。
運命というのは冗談だが、アメリカの今後10年間の不況は、明白な事実となるはず。
では、その理由を解説していこう。

在庫循環サイクル、設備投資サイクル、建設循環サイクルというのは一般的には存在すると言われている。だが、長期サイクルの存在は一部では疑問視されている。長期サイクルの代表的なものは60年周期のコンドラチェフサイクルである。私は数十年にわたる長期サイクルは存在すると思っているが、コンドラチェフサイクルが厳密に存在するかについては確信はない。

さて、長期サイクルを計測する前提として、何を元にサイクルを計測するかである。大きく分けて2つ。価格と利潤。
コンドラチェフは、前者の価格に注目し、卸売物価を元に60年長期波動を発見した。一方、利潤では、一般的に金利が使われるが、金利もまた「貨幣の価格」であるので注意が必要である。今回は、「1人あたりGNP」を使う。
ネタ元は、「叢書 世界システム『長期波動』」イマニュエル・ウォーラーステイン(藤原書店) である。

この本の「六カ国の長期波動」において、J・B・テーラーは、各国(日・米・英・独・仏・伊)の「一人当たりGNP」を、多項式分解という統計学的手法のみを用いて客観的にサイクルを探し出した。その結果、約30年周期のサイクル(テーラーはK波動と名づけた)が見出せたのである。グラフは、本を買うなり立読みするなりして見てもらえればよいが、K波動のポイントは2つ。
(ア)世界史的にみて、どの国の一人当たりGNPも、K波動を内包している。
(イ)K波動のラグタイムが存在するのだが、アメリカはいつも、約10年遅れて他国に追随している。過去100年に渡って、それは続いている。

さて、以上の統計学的考察から、今回もアメリカは日本・イギリスより10年遅れて不況の波に襲われる可能性が非常に高い。つまり、運命である。


デフレは2005年3月までに終焉 (2004/11/15)
(最初、題名は「デフレは2005年1月までに終焉」としてましたが、「3月」に変更)
デフレから、インフレ・金本位制の時代へ(5)
第1回 2003/10/01
第2回 2003/10/19
第3回 2003/10/20
第4回その1 2003/11/02
第4回その2 2003/11/07

消費者物価指数(CPI)が2ヶ月以内にプラスになり、デフレが終了することをグラフから読み解く。

1年ぶりのコラムである。2回に分けてお伝えする。今回はCPI(消費者物価指数)とPPI(国内企業物価指数)について。
第4回その1(赤字の部分)で、私は次のように予告した。

『2004年1月    −0.003%
今後、国内企業物価指数(PPI)(対前年同月比)が上記の値を上抜ければ、デフレは終了するであろう。

現在の予想では、少なくとも来年1月の国内企業物価指数はプラスになると思われる。そして、上値抵抗線を上抜けて、デフレは終了するであろう。
正確には「1月、国内企業物価指数(対前年同月比)がプラスになれば、デフレは終わる」である。』

その後、どのようになったかというと、
図1のようにPPIは急速な上昇をはたした。



つまり、私の予測「少なくとも来年1月の国内企業物価指数はプラスになる」は、非常に的確であった。(正確には、前年比0.0%が続いた後、プラスに)
ただ、「1月、国内企業物価指数(対前年同月比)がプラスになれば、デフレは終わる」というところに疑問をはさむ方もいるだろうが、ある意味では正しかった。
では、今回、その意味を理解するために、分析してみる。

消費者物価指数(CPI)・図2を見てみよう。

消費者物価指数・右目盛は、2003年2月と2004年1・2月をダブル底に、上昇波動に入った。
消費者物価指数(前年比)・左目盛は依然マイナスだが、ボラティリティが低下しており、上抜こうとしている。

青文字で「12.5年 X 1.208倍=15.1年」と記してある。
1920年代の国内企業物価指数(PPI)のグラフを見ると、1927年を境に、6年サイクルから7年3ヶ月サイクルに、1.208倍長くなっている。
(20世紀初頭のCPIの資料がみつからなかったので、PPIを使用します)
前回の日本のデフレは、1920年(大正9年)3月15日:東京株式市場・大暴落から始まり、1932年9月にCPIがプラスになって終了したとみると、期間は12年6ヶ月(12.5年)であった。つまり、前回のデフレ期間(12.5年)を1.208倍して、今回のデフレ期間が15.1年と推測できる。

今回のデフレは、1989年12月大納会を天井として始まったので、そこから15.1年後2005年1月〜3月となる。
また、別の分析(方法は非公開)でも、2005年3月までにデフレが終了することが判明した。

さて、「1月、国内企業物価指数(対前年同月比)がプラスになれば、デフレは終わる」という予測が正しかったということは、図2のCPIグラフを見てもらえれば分かるであろう。「底」と書いてあるダブル底の後の方は、2004年1月・2月である。デフレ(CPI)は2004年1月には終わっていたのだ。そして、PPIがマイナスから0になったのが2004年1月、陽転したのが2004年3月。
  つまり
今現在、「前年比」という統計上はデフレだが、現実はデフレではない。

注意しておきたいのは、CPI前年比がプラスになった後は、1932年CPIや2004年PPIと同様に、消費者物価指数は急速に上昇し、1年以内にCPI前年比プラス1%台になることだ。
CPI前年比がプラスになれば、デフレ脱却の喜びと、債券暴落の恐れという相反する感情が生じる。日本の金利引き上げにより世界的過剰流動性が断絶し、ドル安→元安→Chinaインフレ→元切り上げ、と波及する可能性は大きい。日本の金利上昇が世界的大不況を起こし日本株も下落するのか、または、高金利の日本に資金が集中して日本株だけ上昇するのか。
一世一代の大勝負が始まるのは確かである。

最後に、新たな疑問として次のことも頭に留めておきたい。
20世紀初頭のデフレはCPIとPPIが同時にマイナスからプラスに転換したのだが、今回は、2004年1月(3月)にPPIが先にプラスになってから1年後にCPIがプラスになりそうである。前回は同時に陽転したのに、今回の陽転に1年のタイムラグが生じたのは、なぜだろうか。
はっきりとは不明だが、20世紀初頭デフレでは、後半8年間のほとんどが前年比マイナス幅が大きい急激なデフレであったが、今回は前年比マイナスの期間はほぼ5年でありマイナス幅も小さかったからと思われる。また、上流のPPIが上昇してから、下流のCPIに波及するという流れ自体は理に沿ったものといえる。


前回(11/15)の追記
2005年3月までにCPIがプラスになるとして、その後を予想してみた。

過去(1932年CPI、2004年PPI)のデータから、2005年末までにCPIが1%後半まで上昇する可能性が高い。
となると、日銀コール金利はCPI以上の2%にしなければならない。さもないと、インフレが進行し、長期金利が暴騰する。
ところが、日銀のルールでは、量的緩和解除の条件として、
(1)平均的にCPIがプラスになる。
(2)今後もCPIがプラスであることが予測できる。
を最低条件として、
(3)今後の景気回復が見込まれる。
という付加条件がある。

ところが、CPIが急騰し2%に近づく可能性が高いとすれば、この量的緩和解除条件は非常に危険なものとなる。なぜなら、CPI上昇を眺めて量的緩和解除をためらっている間に、CPIが2%に近づく可能性が大きいからである。
つまり、日銀としては、量的緩和から質的緩和に移行して、それからゆっくりと金利を上げていくつもりであろう。しかし、CPIの急速な上昇が予想されるため、それは日銀のはかない夢となる。

97年、米FRBは実質ゼロ金利から1年間で3%もの金利を上げた。その結果、資金がアメリカ本土に還流し、メキシコ危機が起きた。
今回、日本銀行が1年の間にコール金利を0%(量的緩和)から2%まで上げたとすれば、97年のメキシコのような危機が起きるであろう。しかも、今回は、アメリカ・Chinaの資金源となっているのは、金利が0%の日本である。よって、アメリカ・Chinaで危機が起きる可能性が高いのだ。
そして、全世界の資金が日本に還流するであろう。
つまり、デフレ脱却による日本の利上げは、世界的リスクなのである。

さて、ここまでは予想できることなのだが、その後が分からない。

過去の歴史を参照すると、この場合、「円」が基軸通貨になるのだ。
だが、それが私の頭の中でイメージできない。また、「円が基軸通貨になる」って言えば、みんなから笑われてしまう。
世間では、ユーロが次の基軸通貨というのが一般常識だが、私はそもそもユーロが存続できるかどうかに疑問をもっている。なぜなら、政治統合がなされておらず、予算執行の中央集権化もなされていない。過去にもラテン通貨同盟(1865-1926年)というのがあったが、結局は破綻した。ジム・ロジャーズもユーロは破綻すると言っている。

また、市場規模・発展性という点では、ヨーロッパよりアジアが優位である。
みなさん、どのように思われます?

参考
『ユーロは存続できるか?』 ブレンダン ブラウン,Brendan Brown,田村 勝省 (シュプリンガーフェアラーク東京)


さて、次回は、海外経済を見ていこう。